神々の信徒たちが地上の覇権を争うターン制・ストラテジーゲーム。
戦略画面で生産や指示をして軍隊を動かし、戦闘は自動解決。もともとマルチプレイ向きに設計されているらしく、AIは貧弱で、マルチプレイでプレイヤーが行うものを除いては外交という観念は無い。
なおカードゲームのDominionとは何の関係もない。
いいところ
Dominions 4 が最新とのことだが、たまたま安売りしていたので 3 をプレイしている。
AIはヌルいがユニットの種類・能力については無限か?と思うくらい沢山用意されており、特徴もハッキリしているので、どうやって敵を狩るのか考えるのが面白い。
- AI相手の場合、外交などは一切なく、周りはすべて敵。序盤から大軍を作ってガチで殴り合うだけというシンプルさが魅力。
- 画面も大まかにいって戦略画面と戦闘画面の2つしかなく、しかもプレイヤーが操作できるのは戦略画面だけなので、操作を覚えるのは簡単。
どういう設定の神々の戦争モノか?
- 神々の戦いをテーマにしており、神話に出てきそうな雰囲気の名前の勢力がたくさん用意されている。しかし神そのものではなく、神を僭称する者 Pretender God と呼ばれている(以下、神という)。
- 神といえども単独行動は危険なため、ちゃんと手下で守らないとすぐに死亡したり負傷したりする。
戦略地図はエリア制
大まかには陸と海があり、陸から海への攻め込みは簡単ではない。
- 予め用意された地図のほか、地図の自動生成も可能
- 野戦、攻城戦など戦闘においてはマス目で区切られた戦場地図が使われるが、戦闘自体は全て自動解決なのでプレイヤーは見ているだけ。
戦場地図の様子
自動解決の結果が予想外で、戦況分析をしたいような場合を除いては、戦闘の様子を見ることはない。再生時間もかかるので。
- 攻撃側が左に配置され、防御側が右に配置される。
- 士気の崩壊や指揮官の死亡により、潰走したほうが負けになる。ほとんどの戦闘は潰走で終わる。
- ユニットを右クリックすれば、能力・状態・装備などを全て見ることができる。
国...というか神を決める
多分に神あるいは宗教がかった国を選ぶ
プレイヤーの立場は、神を自称する者 Pretender God である。
アトランティスとかティルナノーグとか数十国が用意されている。もちろん各国について、逐一細かい設定がされている。字だらけのマニュアルを参照。
とりあえず名前だけでウルム Ulm を選んでみる。ウルムは、ライン河上流に実際にあった地方で、鬱蒼とした森の中に蛮族が住み着いて通りがかりの余所者を襲っていたイメージがある。
ウルム Ulm の例
くそ長い解説文を読むと、大体どんな神話や宗教に基づいて設定されている国なのか、だいたいの路線はわかる。
下の方には、ゲーム上の特徴が列挙されている。
- 種族 Race:蛮族、寒さへの耐性少々、寒さ尺度+1を好む
- 軍隊 Military : 中堅歩兵が強力、歩兵は隠蔽
- 魔法 Magic : 大地、自然、火、天空、死少々、魔法のアイテム作成が得意
- 僧侶 Priests: 弱い
まあ、大体イメージどおりだった。
勝利条件は?
- 自分の勢力が最後まで生き残っている(=他を滅ぼしている)こと。
- 州の支配 Dominion は白いロウソクで示され、これがゼロになったら再起不能で滅亡となる。
第一印象
グラフィックスが粗い
- なにせ10年位前のゲームなので、グラフィックスはかなり大雑把。ユニットや勢力の旗印がどれも同じように見え、区別がつきづらい。
神の能力や勢力の設定が総ポイント制で、色々試せるのは面白い
- 神の姿が選べる。
ドラゴン、巨人、地母神、猪などの動物だけではなく、泉や石柱などの姿も選べる(移動できない代わりにポイントが安い)という発想が実に面白い。 - 神が目覚めるタイミングを決められる
3年間、捕縛されている状態 Imprisoned を選ぶとポイントが沢山もらえるかわりに序盤は神無しでしのぎきらなければならない。最初から目覚めている状態 Awaken を選ぶと、ポイントはもらえないかわりに最初から神の能力を活用できる。その中間のまどろみ Dormant を選ぶこともできる。 - 神の能力と国土の特徴がバーター
いくつか国土の特徴を設定できるが、設定のさいに厳しい条件を選ぶと、代わりにポイントがもらえる。これで別の特徴を強化したり、神本人の能力を強化したりできる。
魔法やアイテムが細かくて多い
- 効果はさまざまであり、説明文があるが、実際に使ってみないとよく分からない
- アイテムは使う前に、鍛造 forge しないといけないが、これがけっこうめんどくさい。
タブレットでプレイできるか
物理キーボードがないと地図のスクロール操作はやや難しいが、狭い画面でタッチ操作だけでも、ほぼ支障なくプレイできる。
戦略はターン制、戦闘は自動解決
自動解決の結果をメッセージ画面でチェックした結果、予想外の結果であった場合には、自動解決された戦闘の経緯を戦闘後に再生して分析することができる。
- 自動解決ではあるが、指揮官や部隊に対し、戦闘時の行動(最初の5ターンの行動と、そのあとの行動)や配置を指示しておくことはできる。
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野戦は必ず1ターンで結果が出るが、要塞の攻城戦は壁が崩壊してから突入をしなければならないため長引くことがある。
部隊の配置を設定しておく Position Squad
複数の軍や部隊が同じ土地にいる場合、相対的な配置を決めておくとよい。
決めなかった場合、中央に集中するので交通渋滞になったり、範囲魔法の餌食にされる。
たいていは中央に、騎兵の長槍 lance 突撃や危険な生物の危険な攻撃の的になって真っ先に死ぬ運命の弱兵をおき、両翼や第二線に主力を並べて包囲する。
ウソ?負けたの?
メッセージ画面で、負けたとか、損害が大きかったときだけ、戦闘の様子を観察して分析する。勝った場合は大抵見ない。
戦闘の様子を観察
誰が何の魔法をかけたのか、誰に殴り殺されたのかなどを観察する。
ウルム Ulm の場合、精鋭の Steel Warrior が象やトログロダイトなどの巨大生物に踏まれ、まさに犬死にとしか思えない無残な死を遂げる光景などが見られる。
次の戦闘では、歩兵を引っ込め、弓兵180名で巨大生物を集中攻撃するなどの報復をする。
何をおいても、まずは神から
自分好みの神を設計する。
どのようにでも設計できるが、そもそも国ごとの特徴が幾つかあるので、長所を生かすように設計するのが望ましい。
物理的な実体を選ぶ Select Physical Form
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泉(1番目)、石柱(2番目)は動けないかわりに、影響力 Dominion や魔法の能力などは高い。
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地母神(5番目)はグラフィックがアレだね。
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槌を持っている大男(7番目)は、多分ヘパイストスをモデルにしているようで、魔法アイテム作成が得意。
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マンティコア(12番目)、サイクロプス(13番目)、ドラゴンなどは単独でも割合戦える。油断すれば包囲されて死ぬけど。
鍛造の王 Forge Lord(7番目)
この実体は、コスト125を払うと選べる。
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槌のマークは、アイテム作成のさいに消費する宝石のコストが削減されることを示している。
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心臓のマークは、怪我をして能力が低下していることを示している。
神の能力値
ヒットポイント、防御、士気、魔法への抵抗力など、ありがちな能力が定義されている。
設定画面に表示されているのは代表的な能力値で、クリックして詳しく見ると実はさらに内訳があったりする。
荷重 Encumbrance
分かりにくい能力値だが、けっこう重要なのがコレ。
- このゲームでは魔術師すらも、重たい鎧を身に着けることができるのだが、魔法を使うと二倍くたびれるので実際は着せない。
- 過重がゼロの場合には、くたびれることがないので果てしなく連続で魔法を使える。泉、石柱、アンデッドなどはゼロ扱い。
行動点 Action Points
さきほどの画面では移動 Move と書いてあり、2/8と表現されていたが、この画面では行動点と呼んでおり他の数値も表示されている。
まあ左側の数値が戦略マップで何マス進めるかという意味で、右側の数値が戦闘中に何マス進めるかを意味していると思っておけばよい。
統率 Leadership
その指揮官が率いることのできる部隊の上限数を意味している。
この値には内訳があり、アンデッド、魔法(召喚された手下など)ユニットの員数は、通常の員数よりも少なく設定されている。
戦闘で経験値が上がると、この数値は上がっていく。
魔法の能力 Magic Skills
7種類の魔法の流派について、神に持たせたい能力を設定する。
- 能力を高めれば高めるほど、神本人が、高いレベルの魔法が使えるようになる。
- 能力を高めれば高めるほど、預言者 Prophet 、聖別されたユニット holy troops (Sacred) などの選ばれた一部の手下に、有利な修正が付くようになる。
この例では攻撃能力+2、回復+2が修正として常に適用される。これは神がまだ登場していなくても適用される。 - 能力が4レベルあれば、その流派の魔法の土地 Magic Site は、すべて探索により発見できる。
神のビルドパターンの呼び方
- 海外のフォーラムなどでは、一つの流派を極めて、魔法の能力や修正値を徹底的に高めるような設定の仕方を Blessed と呼んでいる。
これらの修正値は神が目覚めていなくても適用されるので、通常は神をまどろみ Dormant か捕縛 Imprisoned にしておいてポイントを稼いで、国力強化に回す。 - いくつかの流派に分散させ、複数の流派の魔法を(ある程度)使えるようにし、複数の流派の魔法の土地を発見できるようにするような設定の仕方を Rainbow と呼んでいる。
この魔法の能力は神本人に帰属するので、神が目覚めた後でなければ使えない。
とはいえ魔法の土地が多数(=複数の種類)発見できるので、宝石 Gem 収入で困ることは少なくなる。
次に国全体の特徴を決める
神とポイントが共通なので、神を強くしすぎると国全体の特徴は弱くなるというトレードオフになっているところが、このゲームのミソだといえるだろう。
支配地の設定 Design Dominion
国によって、何を重視するかは違うので、メリハリをつけて天秤を傾ける。
ウルム Ulm の場合には:
- 聖別されたユニットが歩兵であり、大量に雇いたいので、支配 Dominion は高め
- 重武装のため資源 Resource が欠乏するので生産性 Productivity 高め
- 寒さ+1を好むので、同じ値に設定
- 魔法は大して使わないので、吸われちまうぞ Drainに設定
することなどが多いが、自虐的な設定でもしない限りは、どんな設定をしてもそれなりに戦える。
大臣はおらず指揮官のみ
プレイ開始時点に設定した国の特性がそのまま適用される。これを修正する大臣のような観念はない。
- 指揮官を割り当てられていない軍は動けない上、もし戦闘になったら必ず負ける。
- 指揮官は、神だったり、戦士だったり、魔術師だったり、預言者だったりする。この指揮官をうまく使いこなして戦闘、探索、儀式などを行う。
- 指揮官のうち1名を預言者 Prophet に任命することができる。任命するとレベル3相当の僧侶扱いになり、ただ居るだけで支配 Dominion が高まるという重要人物でもある。
徴兵や雇用
- 支配下の州において、資金と資源を支払い、その土地の兵卒や指揮官を徴兵・雇用する。
維持費 upkeep は毎ターン資金で支払うことになっており、その額は購入時の15分の1。とにかく兵卒は消耗品なので、維持費を気にする局面はあまりない。 - 一つの州では、指揮官は1ターンに一人しか徴兵できない。
資金があるときは魔術師や賢者 sageなどの研究能力がある指揮官(部下を付けないので、指揮官というより個人だが...)をひたすら雇い続けて、魔法の研究を加速する。資金がないときは偵察を雇い、偵察するか、荷物の運搬をさせるか、血の生贄を集めさせる。 - 研究所 Labsでは魔術師 wizard / sharman 等を雇える。寺院 Temple では僧侶 priest を雇える。
- もしフリーの傭兵がいれば、資金を支払い他国との競りに勝ちさえすれば、3ターンの間、雇うことができる。競りに負けた場合は、資金は次のターンに戻ってくる。
- 州の守備兵の数(通常はゼロ、首都では初期25)を増やすことができる。
守備兵は州に帰属するもので移動はできないが、戦闘に勝てば兵は復活する。
無防備な州に攻め込まれた場合や不意に叛乱が起きた場合にも、戦闘の分析だけはできるように、守備兵は最低でも1名に設定しておくのが望ましい。
兵卒や指揮官の徴兵・雇用
首都では、自国の専用ユニットを徴兵できる。
例えば、強力な聖別されたユニット(Holy, Sacred)を徴兵できる。ウルム Ulm の場合は、Steel Warrior が該当する。これを1ターンに雇える数は支配 Dominion 値により決まる Holy 値により制約されているので、通常は毎ターン、上限いっぱいまで雇い続ける。
守備兵を増やす
画面の上の方に、守備兵を増やす+ボタンがある。
守備兵は減らせないのだが、なぜか-ボタンもあるのは愛嬌か?
魔術師だらけになる首都
資金の続く限り研究者を雇うので、必然的にこんな感じになる
魔法
- 戦闘中に自動で使われる魔法のほかに、怪物や動物を召喚する魔法や、世界全体に何らか作用する魔法 Global Enchantment などがある。
- 魔法には流派 School があり、流派ごとに研究をしていくことで、魔法のレベルが高まって使える魔法の種類が増えていく。
- 召喚魔法やレベルの高い魔法の多くは、魔法の宝石 Gem を消費するので、魔法の土地 Magic site の探索をするなどして宝石の収入をこまめに確保しておく必要がある。
預言者 Prophet
- 指揮官をひとりだけ、きわめて強力な僧侶の能力を持つ預言者に任命することができる。
プレイ開始直後に、たくさんのメッセージが出るが、これは他国が預言者を任命しているため。自分も任命するのを忘れないように。
ただの武官が預言者になる
プレイ開始時点で、偵察と武官の2名の指揮官がいるのだが、偵察は統率がゼロであり戦闘には事実上使えないため、消去法により武官を預言者にすることが多い。
2ターンめ開始のさいに、他国で預言者を任命したというメッセージが大量に表示されるが、おそらく同じ発想で武官を預言者にしていると思われる。
アイテム作成
- 指揮官にアイテムを持たせることで、強化することができる。
指揮官も使い捨てに近いので強化するのに執心する必要はないが、海に潜れる首飾りなど、かなり有用なものも中にはある。
アイテム鍛造 Forge Magic Item
正直なところ、かなり面倒くさくて分かりにくい。
ゲームの最中に都度都度判断するのは疲れるので、あらかじめ何を作るか、何を定番にするかを決めておいたほうがいい。
面倒くさい理由:
- 作成に従事する指揮官の種類や能力によって、造れるアイテムの種類がいちいち変わる。
- 作成には材料として宝石 Gem が必要だが、材料不足で作成できないものも表示される。
魔法の土地 Magic Site からの宝石 Gem 収入がけっこう大事
資金 Income、資源 Resource という自明な通貨のほかに、宝石 Gem という通貨がある。これが無いとアイテム作成や魔法の詠唱ができない。
- 魔法の土地は、通常は州に隠されている(まれに最初から露出していることもある)ので、指揮官(神本人を含む)や魔法による探索によって発見しなければならない。
- 魔法の土地は、魔法の流派ごとに0~4レベルまであり、一つの州には4個まで存在しうる。探索に従事する指揮官の魔法の能力レベル以下の魔法の土地は必ず一発で発見できる一方で、超えるレベルの土地は絶対に発見できない。
- 国ごとに魔術師の種類、得意とする流派はおおむね定まっている(一部、?マークの流派は確率で決まるが、これも一部の流派の範囲の中から決まる)ので、必然的に自分が使う流派の宝石を出す魔法の土地が探索されやすくなる。
- 宝石は国庫に蓄積されており、研究所 labs などの施設が整った土地では、国庫から直接引き出して使うことができる場合もあるが、施設が無いところで使いたい場合(例えば野戦で魔術師が魔法の詠唱に使うなど)には、指揮官(魔術師や神)の荷物として持ち運ばせておかなければならない。
勢力拡大の仕方
- とにかく徴兵をやり続け、軍と指揮官を増やす。
軍や要塞にZOCが無く、しかも同時移動なので、絶えず予備軍を作って戦線を張ってゾーンプレスするか、州の守備兵を増やして侵入阻止しないと、後方に入り込まれて荒らされる。
また攻城戦になると徴兵ができなくなるので、あくまで野戦で勝たないと希望はない。 - 首都の周りの土地にいる中立勢力を駆逐し、首都の収入を増やす。
首都には最初から要塞がある。要塞は隣接した土地からも資源を集めることができるので、首都での徴兵がやりやすくなる。 - 宝石 Gem を増やすため、魔法の土地を探索する。
探索を済ませたかどうか、よく忘れてしまう。実は州の状態表示を見れば、どのレベルの魔術師(相当)が探索を済ませているか分かるようになっているので画面上部に注目。 - 首都から離れた土地には、適宜、要塞を建てて防衛と徴兵の自活に努める。
首都で徴兵して行軍させるのは時間がかかるので、聖別された専用ユニットや研究開発要員の魔術師だけに絞っていく。後は最前線近くの要塞で徴兵する。
要塞は人口や地形によって収入や防衛力が違うが、野戦軍を増やすため普通は収入を重視するので、人口の多い農地や平地に建て、よほど要害の地を除いては、沼地や山岳などにはあまり建てない。 - 資金に余裕があれば、支配 Dominion を増やすために寺院を立てる。
調べ方
マニュアルは設定資料集のようなもので、勘所はわかりにくい。
しかし例によってマニュアルよりも勘所が分かりやすいWikiやフォーラムなどの記事があるので、それらを参考にするとよい。
フォーラムやWikiでは略語が多用される。
- 英字一文字は、魔法の流派を示す略語(F = Fire)
- EA/MA/LAは、ゲーム開始時点に選ぶ時代を示す略語(EA = Early Age)
Dominions 3: The Awakening — StrategyWiki, the video game walkthrough and strategy guide wiki.