音楽のマーケティング、プロモーションのモデルを提言。
戦略PRやソーシャルメディア・マーケティング論の音楽業界バージョン。
どれか1つではなく、これらのグラフを組み合わせた「クワトログラフ」で展開することが重要。
ムーヴメントの称号「社会記号」
雑誌が得意とする。「婚活」「イクメン」などの社会記号を生み出すことで「トライブ」が生まれ、世の中ゴトが自分ゴトに転化するので、小さなムーヴメントが大きなムーヴメントに拡張させることができる。
トライブ:年代性別を超え、共通の趣味や興味、価値観で形成される部族
きゃりーぱみゅぱみゅは、複数のトライブを抑えているので強い。
商品マーケティングではないテーマ設定で考える
使っていなくても、その商品が木になるにはどうしたらいいか。
「空気」づくりに必要な要素「おおやけ」「ばったり」「おすみつき」
- おおやけ(公共性)
なるべく多くの人にかかわる話にするということ。
「おむつ」は100万人だが、「赤ちゃんの睡眠」といえば、もっと多くなる - ばったり(偶然性)
狙われている感じがまんさいのDMなどは全然素敵じゃない。 - おすみつき(信頼、第三者性)
第三者をうまく使う。
PR First, Advertising Second
戦略PRだけではモノは売れない。「空気」をつくって最後に広告。
概念がでかいほう(PR)から先にやるのは当然。
ソーシャルメディアの強みは潜在層を動かせること
ソーシャルメディア・マーケティング論でよくあるマーケティングファネル、顧客育成、ラダー・オブ・エンゲージメントのモデルで説明。
音楽とfacebookの関係について考える
この辺からやっと、音楽業界にフォーカスした話に戻る。
「自分ゴト化」と「仲間ゴト化」がソーシャルメディアの得意領域
「共感」すると「自分ゴト化」する。それが広がると「仲間ゴト化」へと広がる。
音楽を「自分ゴト化」してもらうきっかけの「クワトログラフ」
どれか1つではなく、これらのグラフを組み合わせた「クワトログラフ」で展開することが重要。
なお、本書も含むソーシャルメディア・マーケティング論の書籍で当然のように出てくる用語「ソーシャルグラフ」の用途と、背景となっている理論をバランス良く説明しており参考になる参考書としては以下。
第1章 ソーシャルグラフとは何か
当初は「ユーザー生成コンテンツ」(UGC)や「消費者生成メディア」(CGM)と呼ばれていたものが2006年ごろから「ソーシャルメディア」と呼ばれるようになった経緯を説明し、「ソーシャルメディア」を「ソーシャルグラフを扱うシステムの総称」と定義している。
ソー シャルメディア上での繋がり関係は「コミュニティ」と総称されているが明確な定義があるわけではない旨述べ、ある社会学の文献で①共同性、②地域性、③繋 がり性が要件とされているのを例示したり、ゲマインシャフト、ゲゼルシャフトなどの用語を例示したりして説明を試みている。
ネットワーク上に構築されるソーシャルメディアの繋がりの性質についても説明されている。
マーケティングで人の分類に使われる「デモグラフィック変数」と「サイコグラフィック変数」の概念を用いて、Facebookは前者、Twitterは後者の色合いが強いメディアだと述べる。
ソーシャルグラフの清書法(表現形式)としては、「木構造図」「ラインゴールド・ティフフォード木構造」などが図解で例示されている。
第2章 ソーシャルグラフの機能
Facebookが他の利用者に課しているソーシャルグラフの利用条件、制約について分かりやすくまとめられているので、調べる前に読んでおくと手間が省ける。
ソー シャルグラフの基礎となっているグラフ理論上の用語、統計量、ネットワーク中心の定義などが分かりやすくまとめられ、ソーシャルグラフの場合にはどういう 傾向になりがちか(弱い紐帯の強さ、スモールワールド性など)を解説しているので、グラフ理論の本を読み返して考える手間が省ける。
第3章 ソーシャルグラフはどう作られるか
ソーシャルグラフにおいては、繋がりだけでなく、繋がり発生の根拠となっていることが多い「ソーシャルプロフィール」(ノードである人自体がもつ「デモグラフィック変数」と「サイコグラフィック変数」で構成)が相当に重要であることが解説される。
第4章 ソーシャルグラフはどう使われるのか
ソーシャルグラフを利用する応用システムとして、レコメンダ(ターゲティング広告で使われる)、デジタルセルフ分析(ライフログの一種)などが紹介されている。