書店との直接取引、地域コミュニティ活用、売上データ徹底活用、専門深堀りなどで成功した出版社の事例。
チャネルや商品に差別化を図ることで独自の地位を築いた中堅~小規模出版社が多数紹介されている。
CDサイズ本、パートワーク、100円ショップ本、大学教科書・学術書専門、農業専門など、特色ある専門出版社13社を、それぞれ異なるジャンル・マーケットから取り上げており、各社の強さの根源になっているビジネスモデルがよくわかる。
- 取次に卸して書店に流通させるいわゆる「通常ルート」以外のチャネルの得失
- 差別化された書籍の生み出し方
などの工夫が語られる。
ディスカーヴァー・トゥエンティワン
- 常識無視。知らないものの強みで全国4000店におよぶ書店との直取引網を確立
- これも常識無視。書店がいやがるCDサイズ本で参入
- 知らない人はまったく知らない。ニッチなジャンルを深耕し「発売1年で最低3万部」を実現
同社のモデルの説明のほか、書籍の流通チャネルについての一般的な解説がある。
- 取次ルート
取次との取引条件についての表がある。 - 生協ルート
- 図書館ルート
- CVSルート
- ネット書店ルート
- その他
幼保ルート、割賦販売ルート
筑摩書房
- ベストセラーづくりを支える「データ販売」手法のしくみ
広告効果の高い新聞も売れ行きがどこで止まるかもデータがすべて語ってくれるんです
農山漁村文化協会
- 客単価日本一、坪当たり売上も日本一の書店を直営
- 普及部員は、自社の出版物の普及活動だけでなく、情報収集も担う。
田んぼや畑、あるいは縁側で世間山話や意見交換。泊めてもらうこともある。
「現代農業」の直販比率は8割にも及んでいる
ほか10社以上のビジネスモデルや経営手法について解説されている。
学術出版社は利益率30~40%
大学図書館からは毎年数パーセントずつ購読料が増える Big Deal で300億円を払わせた上に、研究者からは投稿料として論文一本あたり40万~125万をせしめるというハイブリッドなビジネスモデルにより、出版業界ではあるが利益率30%以上となっている。