そういう、モデルなんです。

ビジネスモデル、3Dモデル、設計図、模型などの現状と動向を考察、関連書籍の紹介

イスラム圏でのビジネスに必須とされるハラルと周辺ビジネスについて

16億人、100兆円ともいわれる巨大なイスラム市場を狙って、食品だけでなく医薬品、外食なども進出していますが、ハラル認証の制約をクリアしないと参入することすらできません。

味の素、ネスレなど大手は現地生産ができるのでもう参入していますが、中小はまだまだです。

最近、日経各紙での記事も多く、雑誌などで特集も組まれるようになってきましたが、まったく馴染みが薄いので予習してみました。

ハラルマーケットがよくわかる本

ハラルマーケットがよくわかる本

 

HCPという支援団体による包括的な内容の入門書。
進出事例や対応事例が多めに紹介されており、ハラル対応の具体的イメージが分かりやすい点がよい。

 第1章 日本だけが出遅れている巨大マーケット

  • 現地の展示会では、日本からの出展者はいまだに自治体が中心とのこと。
    民間より自治体が目立つというのは意外です。
  • 他国の旅行会社が自国だけでなく日本のツアーも売り込んでいるとのこと。
    日本の旅行代理店は出遅れているらしい。
  • 中国・韓国のハラル認証を取得した日本風のイメージ商品が流通
    名前だけを和風にした原産地中国・韓国のパチモンです。
  • 中小企業は決定が早いので新規参入に優位
  • ひかり味噌の事例
    ひかり味噌 ハラル 売上増加」で検索(以下同様)

第2章 ハラルって何?ハラル認証とは?

  • 49ヵ国75団体を公認しているJAKIMが有名
  • ムスリムフレンドリー」というハラルを弱めたものもある
    インバウンド向けならこの程度でもいいかもしれません。
    ただし「ローカルハラル」として懸念される向きもあるようです。
  • 規模により異なる手数料表の例

第3章 ハラルビジネス戦略

  • ハラル認証取得より前に、商品群の転換/テスト販売が必要
  • 日本食品のハラル対応は遅れているので、日系スーパーでも日本食品の売上は1%であり購買層の80%は中華系
  • 参入を戸惑う主な理由6点とその対策について解説あり
  • 日本製品のイメージは欧米に比べて圧倒的に良いことを示す評価グラフ

第4章 ハラル・ハブ・マレーシアはこう攻めろ~アウトバウンド戦略~

  • ハラル認証を取得している缶詰は少ないのでチャンス
  • ハラルパークで3ヵ月生産実績を作ってから取得するのが一番早い
  • ハラルパークでは「とにかく何でも斡旋します」
  • 南薩食鳥、かとう製菓の事例
  • イオンではマグロの解体ショーをやったらバカ売れした

第5章 急速に需要が高まる国際対応~インバウンド戦略~

  • 煮る/揚げるが主流なので焼肉はウケる。焼肉屋「牛門」の事例
    豚肉以外は別にハラムではないので。
  • カオサン東京ゲストハウスの事例
  • ハラル対応自販機などもあるラーメン博物館の事例
    ブタ禁止マークのようなものが貼ってあるだけですが。
  • お土産、果物狩りなど流行りそうな7つのものを紹介
  • マレーシアのハラル産業開発公社(HDC)は東京に研修センターを設置
  • 日本アジアハラール協会はITを活用して1~2週間で取得できるようにするらしい
    8か月が2週間になるならスゴイことです。 
ハラル食品マーケットの手引き 改訂版

ハラル食品マーケットの手引き 改訂版

 

市場の6割を占めるといわれる食品のハラルにフォーカスした解説書。
製品、原材料、流通などの制約が何か詳しく分かる。
市場規模、国ごとのハラル制度の違い、FAQなどをまとめている。

第1章 イスラム食品市場

16億人、60兆円といわれるイスラム食品市場の解説。

  • 来日イスラム教徒の市場規模は、輸出と比べると小さい。
    食品企業というよりレストラン、ホテル、旅行社の関心事。
    原材料入手が難しく、利益率の高いアルコールが禁止なので、客単価を上げづらいレストランは特に厳しいようです。

  • 販売単価も日本の7割位であり採算ライン。
    ジャカルタでの価格表、インドネシア/マレーシア進出企業(大手食品)の一覧表あり。

第2章 ハラルとは何か

イスラム教の基本とハラル、ハラム、ナジス等の禁忌概念の解説。
ヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教の食の禁忌もさらりと説明。

  • イスラム教が当然の国にはハラル制度はない。ハラルは神が決めるので本当は人間が制度を作ってはいけない建前。
    制度がある国は東南アジアを中心に数か国のみ。

第3章 ハラル制度の内容

3つの原則とルール/運用を解説。

  • サプライチェーンの全段階にハラルが要求される(Farm to Table)。
    原材料だけでなく機械、包装、輸送、保管、職員に至るまで。特に屠畜・食肉処理は要件もチェックも厳しくトラブルの元。非ハラル品/ハラル品の混流生産も難しい。
  • CEO直下に社内ハラル監視コーディネーターを置くなど、組織マネジメント要件。
    ハラル管理者はイスラム教徒が要件の場合もある。
  • ハラル方針、指針、監査制度その他10項目以上に上るハラル保証制度(HAS)の要件。
    標準実務手順書(SOP)が重要。
  • 食品衛生も規制があるが日本の食品企業ならば大丈夫だろう。
  • 食材(表あり)については豚、アルコールは派生品/添加物も含め全てハラム。
    ハラルでない動物の遺伝物質の派生品ももちろんハラム。豚に踏まれた堆肥もハラム。
  • アルコールは各国の認証機関の助言をうけるべき

 第4章 ハラル認証の手続き

マレーシア、インドネシアの制度を例に解説。
認証後も、原材料、原材料の調達先、製造プロセス/ライン変更のつど申告・審査がありうる。
認証機関は世界に122もあり、認証マークもそれだけある。

  • ざっくりした認証フローの説明/図
  • 期間:国内は2週間~1年、国外は3~6ヵ月
  • 費用:国内なら17,500円だが海外はすべての実費負担となり高額
  • マレーシア以外の国ではお布施を兼ねた高額な費用が必要
    マレーシアのハラル申請書(製品、施設)の記載事項等の一覧がある。

第5章 世界各国のハラル制度

  • 一般法で規定されているマレーシア(ハラル産業専用工業団地もある)
  • 準則主義だが運用は厳しいインドネシア
  • アルコールも売られているトルコ
  • 加工食品に厳格でないエジプト
  • ハラル制度がな不要なサウジアラビア
  • ほぼマレーシア、インドネシア互換のフィリピン、シンガポール
  • 食肉衛生/ハラル性の判断を統合したオーストラリア
  • 国際規格化の動向(OIC、CODEX、ASEAN共通規格)
  • 国レベルの相互認証、宗教機関レベルの公認(特にJAKIM)

第6章 企業にとってハラル認証の難しい点

  • ハラル性は宗教機関が決めており基準も理由も不明
  • 豚由来の派製品がきわめて便利で種類が多い
  • 制度の国際的互換性の欠如(関係図あり)
  • 原料製造企業が製造フローを開示しない

これまで読んだ中で最も図表、写真が豊富であり、運用イメージがつかみやすいのは下書。

 

 図表目次

  • 図1~図47、表1~表44
    市場、認証プロセス、コストなどのファクト情報が多いので、他書を読んだ後でも役に立つ。

第2章 東南アジアのハラル市場

  • マレーシア、インドネシアだけでなくタイのハラル認証フローも説明されていた点が珍しいか。

第3章 企業のハラル認証取得事例

  • マレーシア:日系(JOC)6社、その他3社
    イオン、キューピー、大正製薬は写真つき解説長め。ほかは数行程度。
  • インドネシア:日系(JOC)3社、その他5社
    こちらは日系以外の5社は写真つき解説長め。うち3社は匿名(化粧品、外食、包材)なので本書以外では見つけられないのかもしれない。
  • タイ:日系(JOC)4社、その他2社

第4章 ハラル認証取得の課題と対策

  • 手続き、日本側の意識の両面で課題がある。

ハラル監査・検査について特に詳しいのは下書。様々な著者による論文集。
ほとんど文字だけで図表はほとんどないが、論文なので解説は深い。 

ハラル食品の分析

  • ハラル祝品の認証に使える分析手法を8種類列挙し解説。
  • ガス・クロマトグラフィフーリエ変換赤外分光(FTIR)光度計、電子鼻(E-Nose)、示差走査熱力測定(DSC)など

脂肪と油:ハラルの観点から

  • 豚に由来する脂肪や乳化剤を検出する手段についての解説。

ハラル肉と冷凍食品:ハラルの食肉処理場、包装、保管、取扱い

  • 食肉処理について、マレーシアの基準の抄訳がある。

第4章 ハラル・ツーリズムと接客業

  • ホテルのハラル対応について、格付け(1つ星~5つ星)を定義した表があるなど、インバウンドのホテル業の方には参考になりそうな内容。

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