よく使われるビジネスモデリング手法について、参考書・フォーマット・テンプレート(雛形、雛型)などを例示します。
ビジネスモデル全般
ビジネスモデルを1枚で書けると称する手法はいくつもありますが、最近流行しているものを2つ挙げます。
ビジネスモデルキャンバス(BMC)
ビジネスモデル全体の整理/分析、改善検討などに向いている。
全体を分析できるものとはいえ、あくまでも中間アウトプットであり、経営層向け報告に使えるものではない。
キャンバスの各要素は、しばしば改版されているので、BMC利用者同士でも勉強したときのバージョンによって表現が異なる場合がある。
- Pinterest で business model canvas を検索するとサンプルが多数見つかります。
https://www.pinterest.jp/search/pins/?q=business%20model%20canvas - Canva や PowerPoint テンプレサイトでも見つかります
生成AI (Gemini) を活用して調査を省力化する
2023年後半から生成AIが台頭してきました。
差別化ポイントに限定して回答させることで、キャンバスの穴埋めができそうです。
リーンキャンバス
ビジネスモデルキャンバス(BMC)と似ているが、BMCでは供給サイドの要素(KP、KA、KR)の用途が分かりづらく、需要サイドの要素の一部(CR、CH)にも分かりづらい部分があった。
リーンキャンバスでは、表現的に分かりやすくなっている。
- Pinterestで lean |canvas を検索するとテンプレートが見つかりますが、BMC ほどメジャーではないので質量ともに少ない印象です。
顧客セグメント(CS)
質的な分析を行って顧客を特定した後、量的な証拠も集めて顧客を定義します。
ペルソナ
エンパシーマップは客観的事実の洗い出し/整理にすぎませんが、ペルソナはより深堀りしてデータの裏付けもとり、顧客の人物像を記述/定義します。
- Pinterestで ペルソナシートをコレクションしている方のページを見るとよいでしょう。
- Pinterestで検索する場合は、検索キーワードに template を追加してください。さもないと、マンガのキャラクターのスケッチやイラストを見ることになります。
https://www.pinterest.jp/search/pins/?rs=ac&len=2&q=persona%20template
エンパシーマップ
とくに難しい指導の手間を要しない図解手法としてオススメなのは、エンパシーマップ/エンパシーカード(Empathy Map / Empathy Card)です。 顧客が何を見、何を聞き、何を考え&感じ、何を語り&行っているかを一枚の絵に描きだします。
出典:IKEA Business Model on Behance
作り方のガイドラインなどもあります。
社名等を登録してダウンロードする必要がありますが。
BtoB 向けペルソナ作成ワークブック :: 株式会社イノーバ
「BtoB向けペルソナ作成ワークブック」は主にBtoB企業のマーケティング担当者様の用途を想定して作成いたしました。ペルソナの概論とメリット、盛り込むべき情報を具体例やサンプルとともにわかりやすくご紹介します。ご自身で書き込めるテンプレートもセットになっておりますので、ペルソナ作成にぜひお役立てください。
- Pinterestで empathy map を検索するとサンプルが多数見つかります
デモグラフィック(FM)属性分析
年齢層・性別ごとの分析です。
顧客セグメントが細分化された今となっては、効力が薄れた手法ですが、差別化されていないコモディディ商品/サービスや、伝統的な社会/市場についてなら通用するかもしれません。
個人情報とはいえ利用者にあまり抵抗なく入力してもらえる属性なので、とりあえず取得する情報/分析項目には入れておいても損はありません。
Female で女性、M は Male で男性、C は Child で子供を表す。 また、年齢層は数字で表し、以下のようになっている。
出典:F1層、F2層などの意味
あまりビジネスモデリングのレベルでは使えないようにも見えますが、顧客の行動を変えさせることで売上が向上するようなビジネスでは、顧客セグメントの定義に活用できるでしょう。
- 車でスキー場に向かう途中に店に立ち寄る客(を増やす)
- 近所へランチを食べに行く労働者(を客にする)
サイコグラフィック属性分析
デモグラフィックのように外見の属性ではなく、内面の属性に着目したものです。
一見、今の時代にとても合った手法に見えますが、サイコグラフィック属性自体が無限に考えられるので、どの属性が顧客の購買行動に直接影響しているかをまずアタリをつけないと分析のベースとなる個人情報のデータ収集すらもできません。
内面の価値観と購買行動の相関を分析することがとても難しいことは容易に想像がつきます。外に見えない内面的な価値観について、質的な手法による分析ナシに、量的な手法を適用するのはムリがあります。
つまり結局はペルソナを作って検証するのと大差なく、分かりやすさでペルソナが勝ります。
ビヘイビヤル属性分析
レコメンデーションの基礎にもなっている購買行動/購買履歴の分析です。
購買行動/購買履歴データが自社で網羅的につかめているなら機械学習などで自動化できます。
ただしID/会員カード/ポイント/映像解析など顧客を一意に特定できる手段をもっていなければ当然使えません。
購買履歴/傾向という事実に基づいた量的な分析による手法であり、機械的に分析できて人手もかからないので費用対効果には優れています。個人ごとの購買行動/購買履歴データが大量にあれば、の話ですが。
その他の属性について
上記の3つも含めて、属性についてまとめているサイトがありました。ご参考まで
顧客との関係(CR)
「売り子」「売り場」といった静的イメージではなく、「売り方」「売り込み方」といった動的イメージで捉えて書きます。つまりマーケティング、セールスの差別化方法を書きます。
スマートフォンが普及しすぎて、もうオンライン、オフライン、O2Oといった区別すらも意味無くなってきました。アウトバウンドとインバウンドの区別も無くなってきたので、チャネル(Ch)、顧客との関係(CR)の違いも分からなくなってきました。
ついに最近の流行語はオムニチャネル...別にオムニと付ける必要もないのでは?
カスタマージャーニーマップ(CJM)
顧客行動を絵にします。
プライベートな行動はインタビューやエスノグラフィーでも分からないし、動的側面の分析なので、これはたぶん一番難しいでしょう。絵が全く描けない人向けには、ほとんど表形式のものもあります。どんなにヘタでも絵の方が分かりやすいと思いますが。
出典:CNET JAPAN,顧客行動を可視化する 「カスタマージャーニーマップ」とは,Adaptive Path
作例については、Pinterest でカスタマージャーニーマップをコレクションしている方のページを見るとよいでしょう。
Canva で Customer Jouney Map で検索すると、プレゼンテーションのテンプレートもあります。また書籍としては
には、B2B版のカスタマージャーニーマップの記述要領やテンプレートがあります。
顧客リストの獲得手法とリードの育成について
広告について
広告の種類は大きく、マス広告、SP広告、ネット広告の3つに分類されます。それらの広告を23手法別に分けて解説しています。
顧客セグメントに特に認知されやすく、効果が高い広告手法があるなら、それはチャネルと考えて差し支えない。
どの広告がどの顧客セグメントに強いのかは、よく調べなければならないが。
最近は「基礎から学べる広告の総合講座」という書名で刊行されているようです。
ケース・スタディーが多いので広告実務に疎い人でも割と理解できます。
上の記事は、DSPを活用した広告最適化です。CRのマス目にスポっと嵌められそうな感じの絵があります。
チャネル(Ch)
代理店・特約店
代理店契約と販売店契約の相違点:日本 | 貿易・投資相談Q&A - 国・地域別に見る - ジェトロ
フランチャイズ(FC)
ルートセールス・訪問販売
移動販売/屋台
主要リソース(KR)、主要活動(KA)
検討していると、たくさん(どうでもいいものが)出てくると思いますが、他社に比べて差別化されているという証拠がある部分だけが、「主要」と呼ぶに値します。
したがって競合分析・差別化分析・代替品分析などの手法をマスターしておくことが重要です。
5 Forces 分析、3C 分析、STP 分析、4P 分析
戦略フレームワークは完全にパターン化しているので手法については書籍を斜め読みすればよい。
作業上は記述要領とテンプレートが要るが、 5 Forces 分析、3C 分析、STP 分析、4P 分析については PowerPoint 2016 の標準テンプレートにもあった。
アトリビュート・マトリクス
機能についても差別化されているかどうか、アトリビュート・マトリクスなどを活用して分析しましょう。
コスト構造(CS)、収入の流れ(RS)
マクロな検討に財務指標を用いる場合、何のKPIで検討するかについては以下が参考になる。