Endless Legend (EL) Expansion Set
Endless Space と同様、きわめてアート重視なゲーム。
グラフィックは美しくUXは良好。システムとしては ES シリーズよりもかなり進化している。発売開始は2014年だが、驚くべきことに2018年秋、2019年に拡張が発売された。
ゲームシステムとしては、相当洗練されており模範とすべきだろう。
どういう設定のファンタジーものか?
プレイヤーは12の勢力 faction いずれかのリーダーとなり惑星オーリガ Auriga にいる他の勢力を圧倒する。
勢力 faction
など 12種類が用意されており、最大8勢力まで参加する。帝国 Empire ともいう。
各勢力の設定は様々であり、ファンタジーものなので色々妄想で補うことになるが、いわゆる普通の人間は Valuters、Mezari と思えばよい。
なお、いちばん左上の Kapaku という網のかかった勢力は、Expansion Set には含まれていない拡張 Inferno を別途購入しない限り使えない。
また 2019/1には次の拡張 Symbiosis が発表され、Mykara とかいう勢力も追加された。
何年も経っているのに、まだ拡張を出す姿勢は素晴らしい。しかも ES2 と同時に。
Inferno の時はみんな驚いた。まあ、コンテンツよりはAIのほうをもっと磨いてほしいけど。
小勢力 minor factions
上記の12勢力のほかに多数の小勢力がおり、村に住んでいる。手なずける pacify ことで自国の労働力を増やせる。
では、Expansion Set とは?
2018/8の Inferno より前に発売された、Tempest までの拡張やらアドオンやらは全部入っているセット。2019/1時点ではこのセットはもうなくて、本体込みの Collection に一本化されたようだ。
Collection とは?
2019/1に本体と、Inferno までの DLC は全部入っている Endless Legend Collection も発売された。
すでに Expansion Set を所有している状態から Inferno を差分で購入して Collection にする場合、1/25 の特売ではプラス 625円とのことだった。
勝利条件は?
領地拡大、資金産出量、外交、奇跡、科学研究、敵を覆滅、征服勝利(75%支配)など、4Xではありかちな勝利条件が用意されている。
第一印象
見た目
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人物、地形などグラフィックに手抜きがない。
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一定のターンが経過すると冬が来て風景が一変したりもする。
プレイスタイル
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クエストがメインであり、アドベンチャーゲームっぽい。
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AIのオツムは弱く、攻められて負けることはなさそう。
地図
- 世界全体はメルカトル図法の世界地図(標準的)
- 地図の最小単位はヘクス(標準的)
- 多数の地域 Region に分割されている。
1つの地域には1つの都市、1つの勢力しか存在できない点が他ノゲームとは違っている。
マウスホイールを回して縮小・拡大すると地図のモードが変わる。遠ざかるとアイコン表示となり、
近づくとグラフィックス表示となる。
都市
内政の管理単位は都市となる。
入植者 Settler を送り込むことで1つの地域の中に1つだけ都市を建設できる。都市内には色んな建物を建設できる。
都市の大きさは初期では周囲6ヘクスだが、行政区画 Borough Streets を増設することで、都市の占める地区 district の範囲が周りに広がっていく。
したがって成長した都市は、その地域の中でかなり目立つ大きさになる。
伝説的な建造物 Legendary Building や勢力ごとに1つ限定の建造物などもあるが、Civilliztion のように種類が沢山あるわけではない。
帝国
20ターンに一度、帝国レベルでの政策決定をすることができる。
貯めた影響力 influence を使ってボーナスを加算する。
資源
地形から算出する標準的な資源としては、食料、産業、資金、研究の4種類。特殊地形では産出量が加算される。
これ以外に、
- 強力な道具や武器を作れる戦略資源(特殊金属)
- 国家レベルのボーナスをもたらす贅沢資源
があり、自国の支配地域内であれば鉱山 Extractor を建設することで利用できるようになる。以下は戦略資源の Glasssteel を発見した例。
ヒーロー
軍を率いて探索、戦闘などを行う。スパイなど単独で行動することもできる。
同じ勢力のヒーローは、グラフィック以外の能力体系は同じであり面白味がないため、他の勢力のヒーローを雇うことが割と普通。
この他の勢力(いわば敵)のヒーローを雇うというシステムは、直感的にはとても違和感があるが、 姉妹品の Endless Space でも同じシステムだった(下図)。
自分は人類の立場でありながら、アメーバのヒーローを雇ったりしていたので個人的にはもう慣れた。
ヒーローにはスキルツリーがあり、 レベルアップするごとにスキルポイントがもらえるので、それでスキルを選択する。
同じ勢力のヒーロー同士だと能力体系が全く同じだが、ポイントの使い道を変えることで、ヒーローごとに多少は違いを出すことはできる。それに飽き足らないときは、他の勢力のヒーローを雇えばよい。
また資源を使って装備を作り、持たせることでヒーローやユニットをガチ強化できる。
首都建設直後に靴(フルートだけど…)を買ってヒーローの移動力強化はお約束。
伝説的な武器
遺跡の調査をしているときに、伝説的な武器が発掘されることがある。
この武器は、同じものを複数のヒーローに同時に持たせることができる。
これも相当違和感があるが、「伝説的な武器を発掘して製法をリバースエンジニアリングしたので、大量生産できるようになったに違いない」と脳内変換。
クエスト・ミッション
惑星オーリガには、どうやら昔、別の文明があったようである。その廃墟 Ruins を調査すると、資金や資源を貰えたり、クエスト・ミッションが発動したりする。
ヒーローで調査するものだと思いたくもなるが、実は通常ユニットで調査しても発動する。
但しヒーローのほうがハズレは引きにくいし、戦闘になったりクエストをもらったときに有利ではあるが。
調査のさい、すぐに褒美がもらえる場合
大抵の褒美は資金 dust である。稀に贅沢資源がもらえたりすることもある。
調査のさい、褒美がもらえるクエストをもらう場合
図書館を建てるという条件を満たせば、技術をくれる。
勢力に固有のクエスト
小勢力を手なずけたら、戦略資源のグラススティールをもらえる。
手に余るほどのクエストをもらうことになるので、以下の管理画面で一覧することができるようになっている。
技術研究
3つの時代があり、9つ研究すると次の時代に進む。
画面でみると技術は大きく4つに分類されている…かのように見えるが、標準的な資源をブーストする技術以外は、1つ1つ効果が全然違う。
したがって4つの仕切りは見やすくするための補助線くらいに思って、1つ1つちゃんと見たほうがよい。
戦闘
世界地図のヘクスがそのまま戦闘に使われるという、かなり変わった仕様。
面倒くさければ省略(自動)も可能。
地形の高低差や段差を利用して戦う点に特徴があるが、
- ユニットの移動力と地図の広さが釣り合っていない
- ZOCがなく、簡単に迂回され足止めができない
- ユニットの生産・維持コストが高く、自分もAIも多数繰り出してはこないので戦闘自体が地味
ため、開始後数ターンには肉弾戦となるため、飛び道具系・魔法系の勢力にとっては厳しい。
また戦闘結果は、どちらかの一方的な勝利(相手全滅)で終わることが多く、生き延びても負傷した敵軍を次のターンに追い打ちできることが多いので、やはり一方的な結果になりがち。
なぜか上下さかさまに
船を買ったのに、海に出られない・・・
Tempest 拡張では海にも要塞、資源、遺跡などが配置されるようになった。
海の遺跡では陸とは異なる海向けのクエストが発動し、報酬のアイテムも異なる。
乗り込み船 Boarding Vessel とかいう、いかにも人が乗れそうなユニットがあって、これは傭兵市場でも買える。つい、これにヒーローを乗せて海に出れば遺跡の調査ができるものと思いがちだが、実は全く関係がない。
2番目の時代 Era の造船所 Shipyard という技術を研究すれば、船がなくても、海岸のマスから海に出られる。
ただし戦闘になった場合、ヒーロー以外の一般的な陸上ユニットは驚くほど無力。バシー海峡を渡ろうとした大日本帝国の輸送船と同じ運命になることだろう。
総評
- AIの戦争遂行力が弱いので中盤以降は押し切りモードになりがち。
首位をひた走るプレイヤーに試練を与える外交アクションなどにより、多少は難易度が上がるなど工夫はあるが。
- グラフィックやクエストは良く、操作性も優れているので、忘れた頃に勢力を変えて、時々やる分には楽しめる。
- ヒーローで小勢力をかわしながら遺跡調査をしている間がいちばん幸せ。
一度調査した遺跡を再度調査できるようにする技術が後半にある。 - 同時には一体しか出せない単体ユニットのガーディアン Guardian を出す(出される)のは楽しい。
ダメージ 600 を超える範囲攻撃をくらわす、水のガーディアンかこいい。
Endless Legend の Wiki サイト
公式、最新の拡張の情報もいち早く載っている。
その他