この建築技術という雑誌、普段は工法などハードの記事が多いのだが、本号はBIM活用というソフトの記事だったので読んでみた。
目次を一見しただけでも、かなり中身のありそうな号だと分かったが、収録されている記事もなかなか参考になった。
1年おきに情報技術関連の記事にしているのか、その1年後にも同様の特集があった。
ひとくちにBIMといっても色々あるね…
アーキキャド archicad だと断然 Revit という印象だったが、意匠・構造(設計)・設備・施工など建築CADでも工程によって特化したデータモデル(BIM)とツールがいろいろあり、
- 意匠はピカピカでキラキラの3D
- 構造も大体は3D
- しかし施工に近づくほど2D寄り(もしくはそのもの)
となっていて、現場でデータ活用しづらくデータ標準化がネックな辺りは製造業と感覚は同じ。 IFC等々でデータモデルの標準化を図っているとのこと。
板金加工でつくられる角ダクト部材は造るところは製造・加工なので、言葉としても DFM (Design for Manufacturing) とかフロントローディングとかの用語が共通で出てくるところは面白い。Revit でもCAMまで繋がる CADmep、ESTmep(国内未発売)、CAMduct(国内未発売) などを出しているらしい。実力のほどは?

Fabrication CAMduct Fundamentals
- 作者:Wietbrock, Doug,Tice, Garrett,Janda, Lyle,Hendricks, Scott
- 発売日: 2015/02/20
- メディア: ペーパーバック
データ標準化が大事なのは同じだな
プレファブ、プレカット、プレキャストなど、プレがつく建材の類は、加工も管理も大変なんだろうと思う。小物の電子部品とかとは違って・・・
データ標準化については幾つか記事があったが、各社わがまま好き放題の製造業とは違って、建築業は随分と業界で組織的(協力的)に整備を進めているように感じた。
オブジェクトのデータなんぞは、もうすっかり非競争領域なんだろうか。ガイドラインもシッカリ出しているし。広告にあった Boot.One なんかは Revit のテンプレ集で、昔あったVISIOのステンシル商売を思い出させる。
※VISIOはMicrosoftに買収されたが、今でも生きてます…高いけど...
意匠の領域で Adobe が猛攻(?)
この雑誌の内容とは全然関係ないが、
意匠の領域で Adobe あたりがプロモーション強化しているらしく、最近のセミナーではピカピカでキラキラな建築3Dモデルのアセットが豊富にあるらしい Substance とかいうものを露出している。
これはマテリアルに特化したものらしい。ゲームや映画で使われていたものらしく、表面のリアル感とかはパネぇ…建築でも使えるでしょ!という主張だ。ほんまかいな。
竹中工務店の人曰く、建築ビジュアライズをタブレット、動画、3次元でやりたいとか。デザインツール Rhinoceros やゲームエンジンとの連携を期待とのこと。
- デザイン上の質感だけでなく、
- テレエグジスタンスでのリアル感や納得感が大事
クリエイティブでは独壇場の Creative Cloud を起点として、割と近い意匠のところに喰いついて、あわよくば紙文化の施工現場の部分も Document Cloud で抑えてしまおうとでも考えているようだ。
Document Cloud のほうは、実のところPDFしか扱えない半端な感じなドキュメントクラウドなので、この程度では、競合が前からやってるドキュメントソリューションをぶっ倒すのは難しいかと思うが。
話をもとに戻すと
記事では
- Computational Design に関わるソフトの相関図と活用事例
- 某サブコンが使っているツールセットの一覧
なども例示されていて興味深かった。
製造業も色々怪しげな特化パッケージやら自作ツールやらを使っているが、建築業でも色々ソフトを使っているんだね…しかもこんなにたくさん…
Excel Mother Data ってオモロイ
あまりにデータがバラバラなので、むしろ Excel を中心にするぞと開き直りをした三菱地所の事例も中々面白かった。ITだと、つい脱Excel(してDBにしよう)とか言ってしまいがちだが、結局のところ利用部門のリテラシで使えないなら意味ねえからむしろExcelなんだよ俺たちは!(エヘン)という考え方も中々いい!
建築BIMについて調べまくっている方のページ
後日発見したが参考になったので張り付けておく。