そういう、モデルなんです。

ビジネスモデル、3Dモデル、設計図、模型などの現状と動向を考察、関連書籍の紹介

グローバル展開のための日本型デジタルファクトリーの構築(ダイキン工業 )

空調生産本部 長谷川副本部長(兼)生産技術部長からの Smart Factory Expo での事例発表。

モノづくり戦略の説明がものすごく高速で、付いていくのがやっと。
絵的には普通だがフィロソフィーがあってやっているので分かりやすい。

会社概要

  • ものづくりに関わる人数5万名、日本人比率10%
  • 化学事業部で冷媒を手掛けている世界で唯一の会社であり、新冷媒に対応する新空調を先行開発できる強み
  • 住宅用、商業用、産業用(アプライド空調)
  • 2005年は日本の売上が半分だったが、20年までに売上4倍。
    グローバルでバランスがとれた売上構成になった。

ものづくり戦略

  • 開発・生産の考え方(グローバル展開を前提とした要諦)
    • 市場最寄化生産(生産拠点の地産地消化)
      季節性が高い商品なので供給L/T短縮が大事
    • 現地密着型の商品開発
      中国・欧州の色の好みなどアレンジ設計は各地域で
    • 独自の自前販売店開拓
  • 開発拠点:25拠点。生産拠点:90拠点で70%がM&Aされたものなので標準化重要
  •  トヨタを参考にした空調用のJIT生産方式「PDS
    • 1978~混合一個流し、1999~生産計画のハイサイクル
  • 海外工場が独自に発展しようとする遠心力と、求心力のバランスをとる
    • 製造工程ごとに技術開発・標準化を展開する「スモールものづくり」
    • ハード技術としては3つ、それらをIoTで結び付ける
      • 設備モジュールによるライン標準化
        生産ラインを行程ごとに標準モジュール化(搬送・検査)することで、ライン組み換えや立ち上げが2分の1に。設備投資半分。
        投資の大きい海外から実施。モジュール間が作業工程。
      •  N分の1設備・金型技術開発
        プレス・機械加工1台投資回収の経済ロットは数十万台の生産。
        小規模生産であっても台あたり投資を小さく。新興国でも。
        設備・機能の分析をして、集約した専用設備に置き換え。
        250tプレス3工程を、80tプレスの複動分割・分散加圧で1工程に
      •  ローコストオートメーション(LCA)
        • 組立・加工・検査・搬送の4工程それぞれごとに投資ミニマムになる前提で考える

設備投資ミニマムという観点での説明であり、分かりやすかった。

日本型デジタルファクトリーの構築

CPSに人の英知が入り続けて進化するもの

  • テキサス、4工場の1キャンパスにした大工場
    • あるところまで生産性伸びたが、頭打ち
    • データで状況を見ているのに、職長ラインで人とデジタル結びつかない
    • 日本の強み、カイゼンによる進化を目指すべき
  • 組立・検査工程については人の英知による進化を図る
    •  熟練技能の早期習熟
      • マイスター制度では限界、デジタルトレーニングシステム
    • 人と機械の協調型自動化
      • 加工系はいいが、組立系は難しい
    • 官能検査の自動化(AI活用)
    • 現場カイゼンのスピードアップ
  •  技能伝承委員会
    • マイスター・エキスパート・TAKUMI
    • 11の戦略技能のうち、ロウ付けについて「ろう付け支援システム」完成
      • 8つの技能評価項目について、マイスターと素人工さんのギャップを折れ線グラフ・レーダーチャートで可視化
  • 重筋作業の自動化
    • 自動搭載するさいの運搬補助機(バランサー)の操作をロボットにさせた
    • 軽いものはロボットがそのまま搬送する
      • 25kgのものは直接
    • 重いものはロボットがバランサーを操作する(間接的に)
    • ロボットに人の動きをティーチングしたり動作確認するのを、シミュレーションを活用して
  • 官能検査のAI活用
    • 外観品位検査・異音検査 正規基準はない世界
  • 現場でのIoT活用
    • 大阪.堺工場の工場IoTプロジェクトセンター
      • ライン測にコクピットを置いた
      • 情報収集・分析を高速化、判断・行動は以前として人
      • 人の作業の分析を今進めている
        • 着完は分かるが無駄かどうかはまだまだ解析中
        • 作業として無駄でも、人の精神として無益かどうかは別の話
    • 止まらない工場を実現するデジタルツイン
      • デジタルツイン画面
      • 停滞予測画面

ろう付け支援は配管技術にソリューションの記事があったが、ダイキンのものも評点機能があって実用的だと思った。重筋・官能検査・IoT活用は実現方法としては普通の話だった。