9つのモデル要素と4つの視点は、従来のサービス・商品企画においても、個々には社内企画書等の章建てで表現されているが、 本書の手法では、各要素・視点の位置関係(配置)が工夫された1つの図(キャンバス)を中心に、ホワイトボードなどでビジュアルに大勢で議論できるようになっている点が優れており、参考になった。
キャンバスの各要素は、しばしば改版されているようなので、BMC利用者同士でも勉強したときのバージョンによって表現が異なる場合があります。
第1章 キャンバス
ビジネスを構成する9つの要素を的確に1枚で表現できるキャンバスを紹介。
①価値提案(VP)を中心として、
需要・市場サイドとしては
②顧客セグメント(CS)、③顧客との関係(CR)、④チャネル(CH)、⑤収益の流れ(R$)
の4つがありキャンバスの右半分にまとめて表現できる。
供給サイドとしては
⑥主要活動(KA)、⑦主要パートナー(KP)、⑧主要リソース(KR)、⑨コスト構造(C$)
の4つがありキャンバスの左半分にまとめて表現できる。
図の中心に①価値提案(VP)があり、その真右に③顧客との関係(CR)、真左に⑦主要パートナー(KP)、⑧主要リソース(KR)、端っこ(右端 と左端)に②顧客セグメント(CS)、⑦主要パートナー(KP)という構成になっているため、自社の既存の顧客やパートナーに惑わされることなく、新しい 価値提案をするために必要なビジネスモデルを導出できる図になっている点が良い。
第2章 パターン
最近はやりのビジネスモデルのパターン(*)をキャンバスで実際に図解し説明している。
アンバンドル、ロングテール、マルチサイドプラットフォーム、フリー、オープン
(*)限定されたセグメントの顧客(個人・法人)から商品・サービスを販売して代金を受け取るだけの伝統的なモデルとは異なったパターンのモデル。
第3章 デザイン
実際にメンバーを集め、ビジネスモデルを組み上げるまでの手法(やり方)について6つのテクニックを説明している。
第4章 戦略
描いたビジネスモデルの妥当性を外部環境との比較で検証し、改善する(もっと有り体にいえばモデルが企画チームの妄想でないことを証明する)ための手法を説明している。キャンバスの外側、上下左右に
主要トレンド(上)、業界動向(左)、市場動向(右)、マクロ経済指標(下)
を書いてみることで、キャンバスの上辺(VP、CR、KA)、左辺(KP)、右辺(CS)、下辺(C$、R$)の妥当性(世間ズレした予断がないか)を評価できる。