LOD1/2までは既存の2D地図や、航空写真/衛星画像などの上空から測定(撮影)したデータから概ね自動的に作れる。だがLOD3/4は側面から測定(撮影)したデータがなければ自動的には作れない。
LOD1の箱モデルでは2D地図と大差ない
3Dでのシミュレーションなどコンピューティングのみのユースケースでは役に立つだろうが、人間系のユースケースでは物足りない。
人は地表で行動しているので、似たような直方体の白箱が視界内に沢山あり、しかも見えない部分が大半となると、あまり判断の役に立たない。
全体を見渡せる分、2D地図の方が便利である。
LOD3、LOD4の実現はしばらく先の話となりそう
LOD2の建物では屋根等や付属物の形状までは詳細化される。しかし側面(立面)の詳細化となると、それはLOD3以上ということになる。
側面(立面)の3Dモデル生成を自動化するには、側面から測定(撮影)したデータが必要となるが、がらあきの上空とは違って、側面は障害物だらけのためデータ収集は難しい。
側面(立面)の3Dモデルは起こせるのか?
あらゆる角度からの点群データや画像があれば起こせる。
Google ストリートビューの360度画像は?
幹線道路沿いなら Google ストリートビューの360度画像があり API で画像が取れるが、路地に入り込んではいないし、単なる画像であり距離は不明なのでデータは足らない。
ストリートビュー サービス | Maps JavaScript API | Google Developers
- 無断で撮っており侵害もけっこうある(ウチも家族が撮られている)がタダではない
- 無断で撮っており侵害もけっこうあるが、画像のままテクスチャ化してベイクして再利用することが(規約上)許されているわけではない。
Meta Mapillary はどうなの?
Mapillary は OpenStreetMap と同様に民主化路線をとっており、利用者がアップロードした動画や画像は原則はパブリックドメイン CC0 になっている。これは使えるのか?
- 参加型PGISなので残念ながら利用者頼みであり、網羅性はかなり乏しい。
- パノラマ画像もアップロード可能であり実際アップロードされている例はあるが、ラインで連続的に撮影してアップロードするのは個人では難しく、あってもポイントでありまばらだった。
- ラインで連続的に撮影されたものは、スマホ等でカメラを前方か斜め前方に向けて撮影されたものであり、真横の写真は無いので建物のテクスチャには変換しづらい。
以上のことから完全ではないにせよ、近づくでデータを集めた Googleの足元にも及ばない。
LiDAR はどうなの?
iPhone や iPad Pro の最近のモデルでは LiDAR が使えるので、Apple 民が総決起して3Dマッパーとなり裏路地含めて点群データを集めれば、LOD3は実現できるかもしれない。
Apple 民が Instagram で撮った画像を Mappilary に流してくれれば、Mappillary の構想するところも実現できないわけではないだろう。
但し、現在のところ LiDAR 付きスマホやタブレットは高級品であり iPad Pro は20万円近くするし、通信料金もタダ同然とはいえないので現実的ではない。
自動運転車が走り回り、ドライブレコーダー、街中の監視カメラ、Android 格安スマホですら LiDAR 標準装備でアップロードする通信費もタダ同然で自動だという世界になれば、あっさり実現されそうだが、しばらく先の話となりそうだ。
LOD4となれば尚更困難 orz
BIMを喜んで公開するような企業はほぼないとすると、インドアマッピングでリバースエンジニアリングしてモデルを起こすことになる。しかし2D地図ですら難しい状況なので、3Dはその先。
屋内の地図を公然と晒してよいようなユースケースも、大規模小売店舗や公共施設以外には無い気もするし。
LOD2テクスチャ付き建物位なら、簡単に実現できる
LOD1は無用の長物であり、LOD3/4 の3Dモデル化は今のところ敷居が高い。
ではLOD2ではどうか。
- LOD2では高さに加えて少なくとも屋根の形状(特徴)は表現される。
- 建物の見た目から自分の現在位置を特定することが地図の読めない方向音痴でも簡単になるので、2D地図と併用する動機はありそう。
- 側面(立面)がない2D地図では、人の関心が高い建物への出入り口・搬出入口・階段の有無が分からないが、テクスチャがあればそれは分かる
- 航空写真/衛星画像から自動的にLOD2を作るのは(金さえあれば)データ入手を含め問題なく、少なくとも上から測定した高さは誤差50cm以内であり大体正しいといえるので実現性も高い
手作成で3Dモデルを起こすさいには、建物のテクスチャに割り当てるために航空写真を使うことも多いが、そこそこうまく当てはまる。画像の歪みを戻せば、正面と同様に出入り口・搬出入口・窓程度のものは識別できる。
ただし画像のままで流用だと、私的な利用や引用の域を超えた場合には、著作権等の権利を主張される可能性はある。
どうすれば、LOD3を実現できるか?
Google ストリートビューから建物の正面データを取得し、3Dモデルにする
これでカバーできるのは主な道路沿いの建物の正面だけだが、左右側面や裏面に用があるのは泥棒位だと思われるので多分十分だし、航空写真では地面に近い部分の画像は取れないので併用せざるを得ない。
- 360度画像であり、ペグマン(カメラ)を真横に向ければ建物の(おそらく)正面の画像は取得できる。
- 建物への出入り口・搬出入口程度のものなら、おおむね接地面付近にあるので歪みも少ないし、形状も突飛なものは少ないので、画像解析でほぼ自動的に判定でき、テクスチャ画像を下絵にして、3Dモデルにメッシュもしくは記号化したイラストなどを付加することはできる
航空写真/衛星画像代と同様、API のお代については払うしかない。
航空写真から建物の正面以外のデータを取得し、3Dモデルにする
航空写真からかなり斜めに撮影された建物の側面画像の位置を特定するのは難しく、自動化は難しい。
手作業の3Dモデル作成の場合には、UVマップに航空写真を斜めのままベタ張りし、マッピング作業で一面ずつ関連づけていった。
屋根面からの相対位置で側面を推定するとかしないと自動にはならない。