そういう、モデルなんです。

ビジネスモデル、設計図、模型などの現状と動向を考察、関連書籍の紹介

UN/CEFACT – ISC-PDA/T&L SC-T+T – P1073 抄訳

大した内容でもなかったが、業務上の一般常識の部分は省いて抄訳

マルチモーダル輸送における統合された追跡や履歴のビジネス要求と仕様 BRS 公開レビュー版

貿易と物流を首尾一貫して識別できるものがないために貿易と物流が分断されている状況を終わらせることができるかもしれない。

UN/CEFACTの専門家が主要な輸送モードで使われる輸送書類を分析した結果、サプライチェーンでの追跡と履歴に必要なデータ要素は、すでに SCRDM および MMTRDM サブセットにある UN/CEFACT Core Component Library にあった(自画自賛)。

よってSCRDM および MMTRDM サブセットをデジタル技術や関連するサプライチェーン標準と組み合わせることで分断された状況は解決できるだろう(自画自賛)。

というわけで本稿では以下を前提としている:

  • マルチモーダルな追跡や売り手から買い手への海運を追跡するために、新たな識別子は必要ではない
  • 貨物/包装/コンテナ/輸送手段の識別子は、それらが一意ならば、マルチモーダルでの追跡に活用できる
  • 異なる識別子を関連づけることは、様々な既存技術で可能である
  • このモデルでは、ステークホルダーが合意する最も妥当と思われる輸送経路の通過点 Waypoints を採用し、様々な既存技術を活用して追跡と履歴を支援する
  • 新たなクラスダイアグラム(データモデル?)やメッセージ構造を作らなくても、標準化された交換手段が活用できる

本稿でいうサプライチェーンは、単一の売り手・単一の買い手の間の、単一の売買取引における追跡を対象とする。

1.1 課題設定

売り手から買い手への情報の流れのプロセスは分断されている。

貿易取引(注文契約)と注文された物品の物流配送(出荷)では、同じ言葉と定義を異なる意味で使っている。出荷と託送は業界や輸送モードによって意味が異なる。様々な関係者が同じ物品に異なる識別子を付与している。例えば輸送モードごとに輸送契約の識別の仕方は異なる(B/L、A/W等々)。

出荷は買い手に購入され輸送されるべき物品を意味する取引の用語である。託送は、取引出荷における輸送サービス契約の証拠を意味する輸送の用語であり、その輸送サービス契約では運輸事業者によって関連する運送契約の条件に従って貨物が移動する。託送で移動する貨物は、複数の取引出荷であるかもしれないし、単一の取引出荷かもしれないし、その中間かもしれない。

出荷(取引配送)

  • 1つの出荷は1つ以上の分別可能な取引物品の集合であり、買い手から売り手にまとめて輸送されうる。
    • 1つの出荷は、1つの買い手を宛先とする
    • 1つの出荷は、1つ以上の注文に含まれる取引物品の全部または一部を含みうる
    • 1つの出荷は、1つの通関UCRしか持たない
    • 1つの出荷は1つの託送の一部でも全部でもありえるし、複数の託送により輸送されうる

託送

  • 託送品は荷送人一者から荷受人一者に対して、1つの輸送サービス契約書類に指定された1つ以上の輸送モードを使って輸送される、それぞれ識別できる託送物品である。
    • 1つの託送には1つの輸送サービスの買い手しかない
    • 1つの託送には1つの輸送サービス提供者しかない
    • 1つの託送には1つの荷送人しかない
    • 1つの託送には1つの荷受人しかない
    • 輸送サービスの買い手は荷送人または荷受人でありうる
    • 1つの託送は1つ以上の託送品からなる
    • 1つ託送は1つ以上の出荷に含まれる取引物品(託送にまとめられる)の一部でも全部でもありえる

追跡と履歴を実現する技術については付録を参照。 

輸送事業者は買い手と売り手の元の取引を正しく特定できるような、従前に付与された参照IDを知りえないかもしれない。

1.2 UN/CEFACT 業界横断サプライチェーン追跡プロジェクト

UN/CEFACT MMTRDMを他の標準と併用する方法については付録を参照。

3.0 UN/CEFACT 業界横断サプライチェーン追跡プロジェクトの目的

  • 商品や資産の追跡と標準電子フォーマットでの情報共有
  • 輸送用品や資産も含む取引され識別された物品の追跡
    箱、パレット、コンテナ等、空であっても
  • 取引または輸送される物品は、標準化団体と関係なく、一般に認められた、グローバルな標準にのっとり識別される。

4.0 範囲

4.1 解説

このプロジェクトでは2つの概念をカバーする。

  • 追跡  - 輸送事業者に託送された後、取引された物品の現在の位置と状態を監視し記録する
  • 履歴 - 物品の種類やそれらの輸送に使われた輸送モードが何であれ、取引された物品が最初に荷送人から最後の荷受人に達するまでの経緯(複合された追跡イベントの履歴)を監視し文書化する。

返品や空になった輸送用の資産の追跡や履歴を含む。

このプロジェクトの範囲における目標:

  • 取引された物品が託送品として扱われるときのすべての情報交換にかかわる標準電子フォーマット:UN/CEFACT MMTRDMでデータ要素とビジネス関係を識別する。空/満杯/混載された輸送用資材(あらゆる大きさと形状のコンテナ)にも適用できる。
  • 取引と、それと関連する出荷の識別、および輸送託送の識別を可能とすることで、サプライチェーンの可視性を高める

以下は UN/CEFACTプロジェクトの範疇に含まれない:

  • ディスパッチや配達に関係する識別子を除く、貿易取引プロセス
  • 請求明細を含む、貿易取引プロセス
  • 輸送される個々の商品や財による相違
  • 税関その他、国境間の規制報告
  • 輸送環境の観点や炭素フットプリントなど関心事
  • パイプライン/ロープウェイ/電力線などUN Rec 19.7 固定輸送機関

4.2 背景

追跡の概要

今日の追跡の粒度は、主に輸送手段と追跡可能な輸送資材である輸送用品に着目しており、取引された品々は効率と防護のためにこれらに詰められている。輸送の過程で中継点において混載・分割・分離・再混載されるので輸送用品と取引品の関係は自明ではない。

システムをまたぐと引き継がれないので、荷検めやら、なにやら必要となる。

5.0 ビジネス要求詳細化

5.1 ビジネス要求一覧

識別子:一意な取引出荷IDを、すべての多様な輸送託送IDと関連づける方法では、サプライチェーン末端の関係者は取引出荷IDを知らされないかもしれないので追跡はできない。

マルチモーダルサプライチェーンでは以下について一意なIDを必要とする

  • 出荷(売り手によって付与された元の輸送ID)
  • 出荷に関わる包装(輸送単位)
  • 輸送契約、荷受伝票(CMR、B/L、A/Wなど)
  • 輸送手段(IMO本船番号)
  • 輸送用品ID(海貨コンテナ/ULD/貨車)
  • 輸送手段の移動(空輸貨物ではフライトNO)
  • 輸送手段による物品の移動(マニフェストなど)
  • 全てのイベントと、それぞれの一意な識別子に関連したデータは、その輸送モードにかかわった事業者や関係者は捕捉し照らし合わせることができ、売り主が付与した元の輸送IDに関連づけることもできる
  • 出荷に関連して関係者が付与した他のID、例えば取引品目ID(商品コード)、注文ID

Scan4Transport(付録1)に準じた2Dバーコード標準を使えば、荷主はこの取引輸送IDをサプライチェーンの関係者に簡単に利用させることができる。このバーコードが見えるところにさえあれば。しかし売り主の元の輸送単位が、他の輸送単位と混載されてしまうと、見えなくなったり読めなくなることがある。つまり一意なIDがあったところで、情報分担が起きる場合はあるわけだ。

様々な標準化団体がグローバルな標準識別子を提唱している。ISO 15459 part 6 は元の出荷ID、同 Part1 は売り手による輸送単位IDの包装への付与。これらは20年前からあるがまだ完全に普及してはいない、

UN/CEFACT MMTRDMでは、ISO, GS1, IMO などで提唱されているグローバル標準識別子を元々扱うことができる。だからこれ使え。足らないなら育てろ(自画自賛)。

5.2 業務用語定義

付録1を参照。

5.3. ビジネス要求外観

5.3.1 ビジネス領域概観 図3はデータモデル。見とけ。

5.3.2 ビジネスパートナー概観 図4はステークホルダー一覧。見とけ。

5.3.2 ビジネスエンティティ概観 業務フローは図5。

その業務ごとの出荷・託送・輸送単位などの UN/CEFACTでの附番や扱いは図6。

5.4 ビジネスのふるまい概観

5.4.1. ビジネス取引概観

マルチモーダル輸送における売り手から買い手への出荷モデルは、Buy-Ship-Pay (BSP) とマルチモーダル輸送 (MMT) リファレンスデータモデルを見よ。

5.4.2 ビジネス連携概観

輸送経路についてはデータパイプラインという概念がある(付録2)。

UN/CEFACT PDES は輸送に着目しており、輸送の発端となった最初の取引にはあまり触れない。但し売り手と買い手の取引の文脈において、託送(輸送契約)に関わる移動の情報を得たタイミングの重要性は強調されている。

本稿では取引された物品の所在をいつでも知るために、データパイプラインの概念を取引の側面を含むように拡張している。

PDES は単一の託送、本稿は複数の託送を使った出荷に注目していることに留意。

5.4.4 ビジネス実現 - 国際標準化団体との協調

IATA, GS1, FIATA, DSCA, IRU, WCO, WTO, ISO, BIC, IPSCA などがあるがこれで全部ではない。だが、UN/CEFACT MMTRDM に吸収済みだぜ(自画自賛)。

GS1 発案の繊維製品輸送の標準 EPCIS のモデルにも準拠しているが、この標準はとても複雑なので簡略化して取り込んだ。

これらの標準はブロックチェーンと併用される。

全ての輸送モードが GS1 または UN/CEFACT を採用するなら、これらのイベントセマンティクスや識別子の種類は同じなのでデータ交換できるが、すべての国際標準化団体が GS1 を全て受け入れているわけではない。

WCO は UCR が使えないか 10年前に調査したが、完全に普及してはいなかった。関税機関の参加国は GTIN を使ったが WCO 参加国には広くは受け入れられていない。

国税関と国境警備隊は、標準の種類さえ指定すれば標準の種類は問わないような関税報告のルールを定めようとしている。

UN/CEFACT EDATA 管理ドメイングループも同様の案を検討中。

  • 輸入側がどうであれ、輸出は完全にデジタル化してしまう。人間が読める形のデータもつけとくから輸入側は自分のペースでデジタル化すればいい
  • サプライチェーンの可視化。サプライチェーン上流で作られたデジタル証憑に、輸出貿易書類と製品ラベルを関連づけることで、検証可能な関連付けられたデータのグラフを作る。輸入側や消費者は、関連をたどって製品ラベルの記載を検証できる。輸入規制当局は条件を満たすか検証できる。
  • 輸出がデジタル化されるので、輸入規制当局や銀行はルール順守やリスクの判断を自働化・選択できる。

以降は標準化動向の説明と付録。実は付録の方が図版も多く参考になったりする。