そういう、モデルなんです。

ビジネスモデル、3Dモデル、設計図、模型などの現状と動向を考察、関連書籍の紹介

出所クレジット表記 CC BY 4.0 で自由に利用できる都市オープンデータ PLATEAU を Blender 3.3 に OBJ形式でインポートしてLOD1は成功、LOD2は失敗

国土交通省にて推進中の Project PLATEAU は、現在56都市ぶんの3DデータをG 空間情報センターのサイトから公開している。

データ形式:CityGML2.0形式、3DTiles形式、2DShape形式

となっており、データ再利用の起点は CityGML形式である。

Freely available (CC BY 4.0) Japanese urban city open data PLATEAU imported into Blender 3.3 in OBJ format, LOD1 succeeded, LOD2 failed

Project PLATEAU, which is being promoted by the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, is currently releasing 3D data for 56 Japanese cities from the G-Spatial Information Center website.

Data format: CityGML2.0 format, 3DTiles format, 2DShape format

The starting point for data reuse is the CityGML format.

 CityGML とは

都市にある実在の地物を3Dモデルに変換したものであり、用途に応じて詳細度を調整できるよう4レベルの LOD が定義されている。

www.mlit.go.jp

建築業界での活用

建築CAD もしくは BIM にインポートして利用する。

国土交通省のサイトには、建設会社が建築CADで作った BIM モデルを(IFC 形式を経由して)CityGML形式に変換したさいの手順をマニュアル化したものがある。

3D都市モデル整備のためのBIM活用マニュアル

但しこれは地物のデータを提供する側のマニュアルであり、利用する側のマニュアルは

3D都市モデルのユースケース開発マニュアル(民間活用編)

となっている。

www.mlit.go.jp

CGでの活用

CG系データへの変換方法については、また別冊に分かれており

3D都市モデルのデータ変換マニュアル

にまとめられている。ここでは OBJ、FBX、UE datasmith、IFC 形式への変換手順が解説されている。考え方の参考にはなるが、 FME Desktop という安くはない商用ソフトの操作手順なので、Blender/UE/Unity など無償のものを利用する場合には役に立たない。

OBJ 形式、FBX 形式に変換済みの都市はほとんどない

G空間情報センターでは56都市以上公開されているが、すでに OBJ 形式、FBX 形式に変換済みの都市はほとんどない。

テクスチャも貼られた詳細度レベル2(LOD2)の OBJデータがある都市は6つだけ

CGで利用するなら少なくともテクスチャが必要なので LOD2 のデータが必要だが、LOD1 と違って手間がかかるようで面積にして LOD1 の 100分の1 位しか用意がない。

  • FBX形式、OBJ形式の両方ともある都市
    • 東京都23区(LOD2: 東京都心/臨海/羽田空港/新宿/豊洲/品川/池袋/渋谷/大丸有/国立競技場/竹芝 32.02k㎡)
    • 札幌市(LOD2: 3.27k㎡
  • OBJ形式のみ

といったところだ。

データ量が最も少なそうな札幌で試す

もっとも狭い札幌市の FBXデータは 1GBだが、OBJ データは 261MB と軽量そうだったので、これをダウンロードしてみると実際には 717MB あった。

建物 bldg フォルダの中に、lod1、lod2 フォルダがあり、Lod2 フォルダの中にはさらに沢山のフォルダがある。

それぞれは格子状に区切った区画の1つ分であり、大体どこを指すのかは図郭マップで確認できるが航空写真ではないので住人でもない限り分からないだろうから、多分 GoogleMap などを別画面で横に開いて見比べることになるだろう。

あるいは標準地域メッシュのコードから地図を検索するか。

blog.esrij.com

どの区画にするか決めたら番号をメモる。64414267としよう。

まず地形 dem をインポートする

一見して何も表示されないので戸惑うと思う。

  1. オブジェクトモードにして、念のため[選択]-[なし]
  2. 画面右端の階層アウトライナーでメッシュ 64414267_dem_6680 を右クリックして [選択] 
  3. [1]を押して、地形を立てる
    Y座標とZ座標が入れ替わっているので [7] を押すと立面になってしまい、ほとんど見えない。[1]を押すと横倒しになり見えるようになる。
  4. ピリオド [.] を押して画面中央に持ってくる
    [ビュー]-[選択をフレームイン]と等価の操作

僅かに凹凸の付いた正方形の区画が表示されるだろう。

次にLOD1の建物 bldg をインポートする

大は小を兼ねると思って LOD2 をインポートしたら地形上には何も見えなかった。

ピリオド [.] を押して画面中央に持ってくることはできたが、今度は地形の方が消えた。一体どこに建物が出現したのやら分からない。

LOD2は後回しにして、LOD1を試してみる。

LOD1 フォルダ配下にある唯一の OBJ 形式ファイルをインポートすると、白地図っぽい箱庭になった。

Blender の初期状態では、カメラの「範囲の開始」や「終了」の設定が近くの物体に合わせられているため、マウス中ボタンドラッグで回転させると巨大な地物が見えなくなる。終了をとても大きな値 100000000m 位に変更するとマウス中ボタン回転しても大丈夫になる。

当初は一部表示がおかしかったが、レンダーエンジンの辺りをいじっていたら自然に治った。

グリースペンシルでの建物の輪郭だけを二次元画像に抽出する技は秀逸

3Dモデルを色々な角度から眺めてスクショを撮ってみたのだが、今一つ2次元画像としては使い物にならなかった。しかし以下の記事がたいへん有益だった。qiita.com

SVG画像で出力されるがブログでSVGは表示できないので、InkscapePNGに変換したものを例示する。これならばけっこう色々な目的で使えるだろう。

 

Freestyle ラインスタイルで3Dモデルを線画表現するよりも手軽な印象だ。

LOD1を削除して、LOD2の建物 bldg をインポートする

LOD1は範囲は広いがテクスチャがないので、これはこれで何かには使えるが、リアル感がない。階層を削除して消去し、所在不明の LOD2と、地形だけにする。

この時点では何も変化は見られない。

ここで色々視点を操作してみたが、どうしても地形とLOD2の建物が同時に表示されない。そこでよくよく LOD2 建物を見てみると...

これってガワだけ?テクスチャと薄皮一枚の面だけしかない。
よくよく見るとテクスチャの張り付き方もおかしい。

どちらにしても単独で利用するものではなく、LOD1との併用が必要なようだ。

ということで再び LOD1 をインポートしたが、相変わらず LOD2 がどこにあるかは分からない。ワールドプロパティを選択し、マテリアルに大気テクスチャを割り当てる。

Nishita というのは Eevee レンダリングエンジンでは使えないらしいので、他のモデルに変更してみたが表示されない。

OBJ形式でのテクスチャ有り建物(LOD2)活用の方は、行き詰ってしまった。

FBX 形式を試したところ、テクスチャ有り建物(LOD2)があっさり取り込めた。

しかし

  • 建物データのファイルサイズが一回り大きい
  • 建物のテクスチャはあるが道路のテクスチャは無いので、何となく使いづらい
  • グリースペンシルでの輪郭抽出をしてみたら、OBJ形式と違って線が切れたり太かったりで使い物にならない

など別の意味で使いづらい。

tombi-aburage.hatenablog.jp

自由に使える建物3Dデータが増えたのは嬉しいが、何だか色々と癖がありすぎて、まだまだ面倒臭いようだ。